ダンススタジオ 大阪の王道
目の前のTレイビには、遠くアラビア半島のカタールで行なわれているワールドカップ最終予選、日本対イラクの試合が映し出されている。
この試合に勝てば、日本は、念願のワールドカップ出場が実現する。
私はTレイビの前を動かなかった。
私が日本にいること自体、不思議なめぐり合わせというしかない。
ブラジルの少年時代、日本という国の存在は知識の片隅にはあったが、地球の裏側にあった。
やがて試合で日本を訪れる機会があった。
いっぺんに私は日本と日本人が好きになったが、いぜんとして遠麗愛国のひとつでしかなかった。
まして、この国に住むようになるなどとは、夢にも考えていなかった。
そんな私が東京でかたときも目を離さず日本代表チームの試合を観戦している。
プレーをする選手ばかりか、ベンチにいる監督やコーチたちの気持ちまでが痛いほどわかる。
日本のサッカーファンに負けないくらい、いやそれ以上に私は日本のワールドカップ出場を熱望し、声援を送った。
自分が出場しない試合で、かつてこれほど気持ちが高ぶったことがあっただろうか。
おそらく、こんな経験は二度とないだろう。
最後の数10秒に同点ゴールを決められてしまったのは、明らかに集中力の欠如が原因だ。
選手たちに「もう勝ったのも同然だ」という慢心があったとは思えないが、いちばん危険なゾーンから嘘ンタリングを上げられて、2枚、3枚のディフェンスが飛んでいたにもかかわらず、鮮やかなヘディングシュートを決められたのは、ほんの一瞬、気を抜いて油断してしまったにちがいない。
技術的なレベルでは、日本はアジアのトップクラスにまで成長したといっても過言ではない。
わずかの時間でこれほど日本の代表チームが力をつけたのは、Jリーグというプロサッカーの誕生と日本代表チームを率いたオプトの功績だろう。
ワールドカップ出場をかけた最終予選ともなれば、アジアカップやダイナスティカップなどとはまた異なった独特の雰囲気がある。
しかも、韓国、サウジアラビア、イラク、イランなどは、サッカーの盛んな国で、国の威信を日本がアジアのトップクラスの実力を持っているとはいる、それほど各国の力に差がない今回のような場合は、技術力よりも集中力の勝負といっていい。
日本は、最後の最後でその集中力を欠いてしまったために苦杯を舐めたのだと私は思う。
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